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青い海と空のみちのく八戸から・波動はるかに 第12回 80-80(Ⅱ)北行
北の国に移住して一年余、二度目の冬は難なく乗り切った。横浜・東京の雑踏、夜の街のネオンも恋しく思うこと全くなく、はやくも北の国に馴染んだ身体になったようなのである。これまで、生身の生活を置いた場所、あるいは日々の生活の棲家というものをどこか借り物とする心理が私に働いているようで定住・定着の気分からいつも遠いところがあった気がする。そこには前回記したような私の幼少年時代の物理的生活の場が一家を成すことにはほど遠い環境であったことが影響しているに違いない。それがまた同時に過ぎ越してきた日々の体験全体を、常に否定的に評価するクセがつき、それまでの一切をご破算にし新規一転、いわば自己革命を常に願ってきたような気もするのである。しかし、一切の過去をご破算にすることなど可能な筈もなく、恐らくはそれらを引きずったまま、此の地八戸がわたしの終焉の地ということになるだろうが、義経の不死伝説「北行」にあやかって、更に北方に生き延びるというか、逃げ延びるという空想もまた楽しい。この地が私の終焉地であろうが通過点であろうが時間的には未確定である。つまり、80以後の対策を考えなければと思う。
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